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新潟教室新年会2018

2月10日、新潟教室の新年会を行いました。
今年は新潟は大雪続き。果たして当日の雪は?と心配でしたが、この日だけは、雪の谷間で穏やかな日に。いつも荒天が多い朝川会のイベントとしては、うれしい誤算。今年はいいことありそうです!
1月に入会したばかりの若手20代男子を始め、初参加の方、いつもの方、総勢14名で、にぎやかに盛り上がりました。
いつもながら目に美しく、美味しい魚倉さんの和食をいただきながら、地酒を堪能。
「今年は東京の研鑽会に参加します!」「三味線も始めようかな」などなど、皆さんから力強い抱負が。邦楽発声法の話や、端唄の楽しさなど、尽きせぬ話題に、楽しい時間はあっという間に過ぎました。
今年は、新潟教室の10回目のお浚い会です。皆様、楽しい舞台になるように頑張りましょう。新潟の皆様、ぜひお越しくださいませ。
ムーミン谷と江戸

児童文学が好きだ。子どもの頃から、大人になっても読んでいる。特に好きな話はいくつかあるが、ムーミン谷の物語も、その一つだ。
先日、久しぶり「ムーミン谷の十一月」を読んだ。
あれ、こんな話だったっけ、とか、こんなセリフがあったんだ、など、本は読み返すと、いつも新しい発見がある。
ムーミン谷の十一月は、ムーミンが出てこない物語だ。ムーミン一家に会いたくて集まったものたちが、ムーミン一家抜きで、しばし一緒に暮らすことになる。皆は、自分勝手で、相手を振り回し、静かに作曲をしたいスナフキンを一人にしてくれない。
その時のスナフキンのことば。
「はっと、きゅうにスナフキンは、ムーミン一家がこいしくて、たまらなくなりました。ムーミンたちだって、うるさいことはうるさいんです。おしゃべりだってしたがります。どこへ行っても、顔があいます。でも、ムーミンたちといっしょのときは、自分ひとりになれるんです。いったい、ムーミンたちは、どんなふうにふるまうんだろう、と、スナフキンはふしぎに思いました。夏になるたびにいつも、ずっといっしょにすごしていて、そのくせ、ぼくが、ひとりっきりになれたひみつがわからないなんて。」
おしゃべりで、好奇心旺盛で、おせっかいで、いつも顔を突き合わせているのに、窮屈じゃない。一人一人は、一人でいることができる。
ん?こんな感じ、なんだか他で感じたような。
そうだ。江戸だ。江戸の町は、おしゃべりで、好奇心旺盛で、おせっかいな人たちが、顔を突き合わせて暮らしている。だけど、こざっぱりしていて、適当に距離のある関係だ。べたべたしてなくて、冷たくなくて、無関心じゃない。見て見ぬふりをしていて、必要とあらば、手を差し伸べる。江戸の町って、そんな気がする。
そうか、そうなんだ。
ムーミン谷に江戸の町をみた。どちらもわたしの好きなもの。
東京教室新年会2018
1月30日、東京教室の新年会を行いました。
今回は、お稽古場の近くのお店を貸し切り!1月に入会した若手男女4人も初参加し、総勢20名で、にぎやかに盛り上がりました。
「落語が趣味で三味線を始めました」「突然三味線がやりたくなって」など、三味線を始めた動機を語ったり、「6月の研鑽会にやる予定の曲は」などと、今お稽古している曲の話をしたり、初対面の方ともすっかり打ち解けた、楽しい会でした。
そして!例によって、また、写真を忘れてしまいました!
お弟子さんが撮った一枚。朝川会東京教室の美女軍団の写真を一枚、掲載します。

美女軍団に会いたいと思った皆様、6月の研鑽会にお越しくださいませ!
だあれと、だあれ?
裏口に出たら、弟が、「鳥の足跡がたくさんあるぞ」とテラスで言っていた。
「ええ?どれどれ」
とそちらを見たら、なんと、家の外壁に添って、鳥の足跡が沢山ある。

「うわあ、すごい。どこまで行ってるんだろう」
家に添って、歩いてみる。
家の土台の雪の無い所は、そこだけ足跡が途切れている。やっぱり鳥も冷たい雪の上はあまり歩きたくないらしい。
よく見ると、小さい足跡も混ざっているような。親子?まさか。別の鳥?飛ぶでしょ。
よく分からないけど、やっぱりかわいい。

家と道路の境を回って、隣の家の庭を通り、我が家の畑まで、足跡は続いている。
畑の方は、雪が柔らかいので、足跡はぼんやりだ。

毎日、こんなすぐそばを、キジが歩いて回っているなんて、全然知らなかった。
キジと暮らす冬。雪の降った朝が、一気に好きになった。
「初雪」3
音子ももう一口飲んでから、ちらっと洋介を見た。
「だけどさ、洋介が着物着てくるとは思わなかった」
「あ、俺?いや、ちょっと前からさ、着物着てみようかなっていうか、なんで着物着ないのかな、なんて思ってさ、それで買ってみたんだけど、変?」
音子は、くすっと笑った。
「変じゃないよ。全然。男子の着物姿って、結構いいね」
洋介は、照れ臭くなり、小皿に盛られた松前漬けに箸を付けた。
「これ、うまいな」
「ありがとう。おばあちゃんが作ったのをもらってきたの。毎年作るんだ」
音子も一口つまんだ。
「いつかちゃんと教わろうと思ってる」
「へえ。意外に家庭的なんだな」
「意外はよけいでしょ」
音子は首をすくめて、そっぽを向いたので、珊瑚のかんざしが、ちらりと見えた。
「それにしても、音子の家がさ、浅草に近くて良かったよ」
「歩いて来れるからね」
「このあたりは、なんていうの?」
「向島」
「へえ」
洋介は東京育ちだ。でも新宿や渋谷はわかるが、向島なんて、全然知らなかった。
そういえば、器も、よく知らない。手に持ったお猪口を眺めながら音子に聞いた。
「これ、渋いよね」
「それ、備前焼。わたし、焼き物好きなんだ。どっちかっていうと、磁器より陶器が好きで、気に入ったものを、少しずつ集めてるんだ」
「へえー」
気に入ったいいものを少しずつ集めるというのが、音子らしいなと洋介は思った。洋介は、陶器と磁器の違いもよく分からない。でも、このお猪口は、安物ではない感じがする。
「俺、よくわからないけど、これはきっといいものだよね」
お猪口から目を放して洋介は聞いた。
「うん。背伸びして買っちゃった。でもいいの。一生物だから」
音子は、大事そうに徳利を持って、自分のお猪口にトクトクとお酒を注いだ。
「一生物かあ。いいなあ」
洋介は、手にしたお猪口を眺めていた。
「これで、一生飲めるやつは、幸せだな」
「え?」と思った途端、音子は、カッと耳まで赤くなった。
「暑い暑い。ちょっと酔っぱらっちゃった」
あわてて炬燵から立ち上がると窓の前へ座った。それから、小さな手で、窓の曇りを拭いて、外を見た。
「雪、すごいよ。もう道が真っ白」
「え、ほんと?」
洋介も炬燵から出て、音子の隣で大きな指で窓をぬぐって外を見た。
「ほんとだ。すげえ」
また、洋介と触れる位に近くになった、音子は恥ずかしくて、じっと窓の外を見ていた。
通りには人通りもなく、すべての音は雪に吸い込まれたように静かだった。
「あれ、何か聞こえる」
洋介がふっと顔を上げた。
降る雪を縫うように、ポツン、ポツンと何かの音が聞こえてくる。
「何の音?」
耳を澄ました音子は、すっと顔を上げた。
「三味線」
「三味線?」
「うん。この辺りね、芸者さんがいるから、時々、聞こえるの」
「へえ・・・」
洋介は、三味線の音を聞くのは、初めてだった。
だんだん白く覆われていく街並みに、遠くから三味線の音が流れてくる。
「あ、唄ってる」
「初~雪~に」
今日は、初雪だ。
「降り込め~られ~て 向島」
二人は、並んで三味線を聞いていた。
雪は、静かに静かに降り積もっていった。
初雪
初雪に 降り込められて向島
二人が中に 置炬燵
酒の機嫌の 爪弾きは
好いた同士の 差し向かい
嘘が浮世か 浮世が実か
誠比べの 胸と胸
「初雪」2
「せまいとこだけど、どうぞ」
下駄を脱いだ音子は、奥の六畳間に入り、エアコンと炬燵の電源を入れた。
「ああ、寒い、寒い。こっちへ入って」
音子に言われるままに、洋介はストールを取りながら、のっそり入ってきた。
「和室かあ」
「わたし、おばあちゃんちで育ったから、畳の部屋の方が、落ち着くんだ。田舎のね、大きな家でね、広い座敷がいくつもあって、囲炉裏もあった」
台所でお湯を沸かしながら、音子は言った。
「ふうん」
洋介はどっかりと腰を下ろすと炬燵に入り、両ひじを炬燵に乗せて腕を組んだ。
「なんか、いいなあ。炬燵」
「そう?よかった。わたしね、炬燵が好きなんだ。おばあちゃんち炬燵だったし」
台所から、かちゃかちゃと茶碗の音がしていた。
雪で冷えた足が、だんだん温まってきた洋介は、背中を丸めて炬燵にあたりながら、見るともなく部屋の様子を眺めた。ちょっと古めかしい茶箪笥や本棚があり、必要なものが、こじんまりと置かれた、こざっぱりとした部屋だった。
音子みたいな部屋だな、と洋介は思った。
「おまたせ」
明るい声で音子は入ってくると、備前焼の徳利とお猪口を炬燵の上に置き、「さあて」と言いながら洋介の向かいに座った。
「あけましておめでとう」
「今年もよろしくな」
二人は乾杯した。
一気に飲みほした洋介は、
「うまい、これ」
とつぶやいた。
「でしょ?これ、地元で評判の地酒なの」
自慢げに言ってから、音子は、洋介に注いだ。
「そっか、音子は雪国育ちだもんな。うまい酒あるよな」
洋介は、もう一口、うまそうに飲んだ。
二人は大学のサークルの友達だ。今日は、二人で初詣に行こうということになり、浅草に行ったのだった。背の高い洋介は、運動部らしいがっしりした体型で、モジャモジャの髪に、溶けた雪が、まだ光っていた。小柄な音子は、今日は髪を頭のてっぺんでまとめて、小さな珊瑚のかんざしを差していた。
(つづく)
「初雪」
新潟は大雪。連日、凍るような寒さと雪。

唄の文句から、ふと物語が湧いてくることがある、そんなのを一つ。
「初雪」
路地の向こうから、雪を踏みしめる小走りの足音が聞こえてきた。
「いやー、参ったなあ。本当に雪になっちゃったよ」
「ほんとに」
紺色のウールのアンサンブルの着物に黒いストールを巻いた洋介と、黒地に赤い絣模様が飛んでいるウールのアンサンブルの着物にえんじ色のショールを巻いた音子が、カタカタと下駄の音をさせながら、路地を曲がってきた。
洋介は黒い折りたたみ傘、音子は、さっき買ったばかりのビニール傘をさしていた。
天気予報では、雪は夕方からだった。音子は、せっかく着物を着て、かわいい巾着袋も持ったので、荷物を増やしたくなかった。それで傘を持たなかったのが、失敗だった。
「こんなに早く降るとは思わなかったわ」
せっかくおしゃれしたのに、残念な気持ちで、音子は、ビニール傘を見上げた。
鉛色の空からは、後から後から雪が降ってきて、ふわりふわりと傘の上に乗った雪は、その細かい綿毛の様な先までよく見えた。
「きれい」
思わすつぶやいて、音子は立ち止まった。
音子が来ないのに気がついて、洋介が振り返った。
「どうした?」
「雪が降ってくるのが見えるのよ。一つ一つが、とってもきれいよ」
「へえー」
洋介が音子の方へ戻って来て、
「どれ」
と言って、屈むように音子の傘に入ってきた。
「本当だ、すごいなあ」
音子の肩に触れるような近さで、洋介は傘を見上げている。こんなに近くに洋介がいるのは、初めてだ。慌てて音子は、先に歩き出した
「ここ曲がったとこ、すぐだから」
音子は、路地を左に曲がり、古めかしい二階建て木造アパートの階段を登った。音子の部屋は、二階の突き当たりだ。
玄関先で雪を払い、傘立てに傘を入れると、ガチャリと鍵を開けて、部屋に入っていった。
(つづく)
「なんで」
新潟は、大雪だ。時折止んだりはするものの、ほぼ一日中雪が降っている。
気温がとても低いので、さらさらの細かい雪だ。
玄関の壺に積もった雪が、まるでお菓子の粉砂糖みたいだ。

先日、スーパ―で買い物をしていた時だ。野菜売り場を過ぎて、精肉売り場を過ぎたあたりに、30代位?の夫婦がいた。
ハムを品定めしている奥さんの横にいた亭主の方が、
「外に出ていていい?」
と奥さんに聞いた。すると、奥さんは
「なんで?」
と、無表情な低い声で、顔も上げずに即座に答えた。
脇を通り過ぎようとした私は、一瞬固まった。
亭主は、一言も返せず、そのまま、一緒に買い物についていった。
あの「なんで?」の声に、一瞬私は、凍り付いた。たぶん、亭主もだろう。
「いいよ」でもなく、「手伝ってよ」でもなく、ただ、「なんで」。
なんでそんなに不機嫌なんだろう。
でも、「なんで?」と私が聞いたら、「なんで、なんでなんて聞くの」と、またあの声で言われるだけだろうな。
寒い日の、冷たい精肉売り場の出来事。
東京と新潟で演奏しました 1/16,17
まずは東京。1月16日に、杉並稲門会第六第七ブロック共催の「新春特別演芸&懇親会」にお招きいただきました。早稲田大学落研出身、アマチュア落語界の大御所、都家西北さん(朝川会会員)の落語と、私の端唄をお楽しみいただきました。
懇親会では、皆様は私の大学の先輩でもあり、同じ杉並区在住ということで、ご一緒に楽しく過ごさせていただきました。
やはり新春は、落語と三味線との声もちらほら(^^)
会の様子は、「杉並区稲門会HP」にてご覧ください。
http://www.w-suginami.net/2/306.htm
続く17日は、新潟にて演奏。
こちらは新潟地区コミュニティ協議会主催の「健幸サロンクラブ」。
「元気なシニアライフをますます元気に!」ということで、毎月色々な催しものを開催しています。1月は、「端唄でひとときを」というタイトルで、お招きいただきました。
「さのさ」「梅は咲いたか」「奴さん」など、おなじみの端唄は、皆さんも口ずさんでくださり、最後は新潟の曲、「十日町小唄」をご一緒に唄いました。
母校の皆様と、故郷の皆様と、楽しく過ごした二日間でした。
だあれだ
先週末は、ものすごい雪だった。
昨日の朝、「道はどんな具合かな」と庭から出ようとした時、「あれ?」
何かの足跡がある。

薄く積もった雪の上に、くっきりと、結構大きな鳥の足跡。
隣の家の人と立ち話をした後、あわてて、携帯を取りに戻る。
戻ってきたら、最初見た時よりも、雪が溶けて少し足跡がぼんやりしている。ということは、さっき見た時は、通ったすぐ後だったのかもしれない。
ここでパシャリ。途中でUターンしているのが、なんともかわいい。
弟に聞いたら、一昨日、道路からキジが飛び立つのを見たそうだ。ということは、きっとこの足跡はキジだ。冬も縄張りを見回っていたとは知らなかった。
ここで縄張りが終わりなのか、それとも車が来て驚いて、向きを変えたのか。
いずれにしても、とってもかわいい足跡だ。
雪は大変だけど、思いがけないものを見せてくれたりもする。
この足跡は、雪の贈り物だ。







