行って帰らない道

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我が家の庭には、紫陽花の木が20本位ある。姿も色もとりどりに、空梅雨の空の下、色をそえている。私の家族は紫陽花の花が大好きだ。
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私の父は高校で数学を教えていた。母は専業主婦だ。私と弟を東京の大学に通わせてくれたのは、結構大変ではなかったかと思う。私はそのまま東京で就職し、自活できるようになった。勤め始めて何年か経った頃、父に、「東京の大学まで出してもらって、今まで色々とありがとうございます。これからは親孝行してお返しします」というようなことを言った。
そうしたら父は、「親に返したら、行って帰ってそこで終ってしまう。親にはいいから、それを別の人に返しなさい。そうすればずっと続いていくでしょう」と言われた。
ああ、そうだな。私の目には、親の姿しか映っていなかったが、その言葉を聞いて、自分の周りや、過去、未来、ずっといろんなことがつながっているし、つながっていくのだと思った。
私の近所では、野菜は廻る。そして、思いも、手渡しで、廻っていくのだな。
父も寄る年波には逆らえず、だいぶ昔のことを忘れている。今、父に「そんなことを昔言われたよ」と言っても、多分「わからない」というだろう。でもいいのだ。私は父からもらった。そして、それを誰かに渡し続ける。それが私の親孝行なのだと思う。

2015-07-05 | Posted in つれづれ, ブログNo Comments » 

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