屋根からアンパン雨あられ

知り合いのお宅で、「団子まき」をやると聞いた。一般的に言えば、建前だ。
家を新築しているのは聞いていたが、団子まきをやるなんて、とてもなつかしい。
私の家のあたりでは、建前に餅やお菓子をまくのを、「団子まき」という。子供の頃は、とても楽しみだった。近所に家が建ち始めると、「そろそろ団子まきか?」と、子供同士の話題になっていたものだ。
「なつかしい!ぜひ行きたい、見たい!」と、弟と二人で、前日にはお菓子を差し入れし、当日は、わくわくして向かった。
小さな集落に車で入ると、いるいる、近所の人がたくさん、新築の家の周りに集まっている。私たちも合流だ。屋根の上には、すでに準備が整っている。赤い塗の桶がいくつも上がっている。「ウチも建前の時に、あんな桶を屋根にあげたよね」。弟と子供時代の思い出話も出る。なつかしいなあ。

「最初は、五円玉をまくんだよ。当主の年の数だけまくんだよ。」と聞いた。
ダンボール箱が屋根の上で開けられた。そろそろ始まりだ。皆が一斉に家のそばへ近づき始める。
バラバラ、まず五円玉だ。それが終わると、菓子パンがどんどん屋根から降ってくる。なぜかアンパンが多い。

「うわ~」、なんだか嬉しくなってしまう。あわてて拾う。次は、お菓子だ。袋入りのスナック菓子がどんどん降ってくる。「キャアキャア」まわりは大騒ぎだ。子供たちも楽しそう。
おお、今度はお餅だ。お餅好きの私、張り切って3個拾う。紅白のお餅だ。
またまた菓子パン。

結構沢山まいて、拾って、お開き。楽しかった~。
「すみ餅を拾った人~、すみ餅と交換しますよ」と、関係者が声をかけている。昔は大きなすみ餅を、家の四方にまいたのだが、今は、「ス」と書いてあるお餅を代わりにまき、後で取り替える。気がつかなかった人が多かったのか、一人しか名乗ってこない。
そういえば昔は、大きなお餅を持って屋根の角にやってくると、「お、すみ餅だ」と場内は気合が入り、大騒ぎをして皆で掴んでいたのを覚えている。
「鯉をはなすよ」と、新築のお宅の人が、軽トラに鯉の入ったバケツを積んで車に乗って行った。このあたりでは、建前の時に、鯉を川に放すのだそうだ。上流に泳いでいけば縁起がいいそうだ。なるほど。
家に帰って、戦利品を弟と出し合う。アンパン、うぐいすパン、白アンパン、ジャムパン、クリームパン、クリアンパン。10数個。こんなに沢山の菓子パンは久しぶりだ。母はとっても喜んでいる。それに、カッパエビセンとか、うまか棒とかの袋菓子が10袋位。お餅が三個。
お盆に持って、お仏壇にそなえる。なんだか、楽しい。
家の新築のお目出度さのおすそわけをもらったみたいだ。
こういう行事って、やっぱりいいよね。いつかは家を建てたいなあ。というか団子まきをやりたいなあ。でも男じゃないと屋根には上がれないらしい。残念!

2015-09-12 | Posted in つれづれ, ブログNo Comments » 

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