不機嫌な居酒屋


今朝のラジオを何気なく聞いていたら、「今の人は、自分が一番幸せじゃなければいけないんです」という一言が耳に入ってきた。
「ええ?」一瞬びっくりした。そうなのか。
そのような前提で、色々なビジネスを組み立てるのだとか。
なるほど。それで、ここのところずっと、なんとなく胸にひっかかっていた光景が理解できた。
一ヶ月位前、とある居酒屋に入った。ここは、昔好きでよく通っていたお店だ。休日で早めの時間ということもあって、カップルや女性同士が多い。カウンターにいたので、見るともなくまわりの人の様子が目に入る。
そのうち、なんだか違和感が湧いてきた。女性たちが、あまり楽しそうではないのである。せっかくの休日、パートナーや友人といるのに、あまりにこにこしていない。
「これはなんだろう」
男性の方がご機嫌をとっているようなカップルや、女性が男性に説教をしているようなカップルもあり、なんとも不思議だ。
別に女性が下手に出る必要もないが、お互いの話しを楽しく聞きながら飲む、というのが、お酒を飲む時のパターンだと思っていたので、なんでだろうなあ、と思っていたのである。
その「なんでだろうなあ」とくすぶっていた疑問が、やっととけた。
自分が一番幸せになりたいのだから、人が幸せな話は、きっと聞いていて楽しくないのである。「そんな、まさか」と思うが、そうなんだろう。
よく、人の不幸は蜜の味という。もともと人間はそういう癖はある。でもなあ、だからといって、目の前の恋人や友人の幸せも、楽しくないのかなあと、ちょっと不思議だ。
「一番」幸せでなければいけない、と思うところには、比較がある。「一番」であるためには、自分より下のもの、少ないものが必要だ。自分に比べて、多いものがいては、幸せにならないのである。「一番」でなければいけないのだから、二番以下は不幸だ。
誰かが、「ただいま~」と幸せそうに帰ってきたら、自分の幸せ度より、そちらの方が多い様に感じてしまうかもしれない。そうなったら不幸一直線である。
どうしたら自分が一番幸せになれるのか。比較する幸せ度は、相対的なので、相手の幸せ度を減らしてしまえば自分が一番になれる。かくして、不機嫌な顔をすれば、相手の幸せ度が下がり、自分が一番になれる。小学校の算数並に、簡単なことだ。
でも、その後は、心から幸せだろうか?これは、小学生の方がよくわかっているかもしれない。

2016-03-19 | Posted in つれづれ, ブログNo Comments » 

関連記事