父と薬

実りの秋だ。いたるところで果実が実っている。
柿が赤くなると医者が青くなると言う。

父は寄る年波と共に、服用する薬の種類も量も増えていった。それにつれて症状が良くなるというよりは、悪くなっていくような気もしていた。年をとっていくのだから、しかたがないといえばそれまでだが、何より本人が、薬を飲むのをいやがっていた。
ある時を境に父は薬を止めた。
しばらくして、父の顔色が良くなっていることに気がついた。手の指がいつも青黒く爪の色も悪かったのだが、いい色になっている。あれえ、と思って触ったら、暖かい。子供の頃から、父は手足の先が冷えていて、夏でも靴下をかかさない人だったのに、意外だった。
血の巡りがよくなっているのは、よかったなと思った。
先日、なんだか父がいつもよりスタスタ歩いていると思って、何気なく足を触ると、外反母趾がかなり改善されていた。
だから楽に歩けるようになったんだと納得。
薬を止めたからなのか、他の原因なのかはわからない。
でも、外反母趾が改善したのは事実だ。よかった。
薬が大好きな人は多い。「あの医者は薬を出してくれない」と不満をいっていたおばさんもいた。「たくさんあるから少しあげる。これ効くよ」と人にあげている人もいる。
「酒と女は気の薬さ」という小唄の文句があったが、そんな薬もあるか。
とにかく父は薬を止めた。
それから、特に何が悪化するでもなく、血圧も特に問題もなく、今日にいたっている。
とりあえずよかった。

2015-10-03 | Posted in つれづれ, ブログNo Comments » 

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