春祭り

庭の椿を生けた。春は着実に来ている。

私の住んでいる集落にはお宮があり、春と夏にお祭りがある。
春祭りは、今年の豊作を願うものだ。村の役員が神主さんとお参りをする。
子どもの頃は、縁日が出たり、盆踊りがあったりと賑やかな夏のお祭りの方が好きだった。でも、さあ春だ、これから農作業だとワクワクする季節に、今年も豊作をお願いしますと、静かにお祈りするのも、いいかなと思う。
ふと、考えた。なんという言葉でお祈りするのだろうか。たぶん、「今年もお天気に恵まれて、豊作になりますように」だろう。「豊作」のイメージは、今までで一番よく採れた年位の収穫だと思う。一反からとれるお米は、毎年右肩上がりで増えるということは無い。
会社では、毎年、前年度何%アップなどという目標が掲げられる。それが当たり前だ。でも、お米は、「我が家の今期の計画は、前年度何%アップです。神様よろしくお願いします」と、お祈りしている言葉は、なんだかそぐわない。
「いつものように、自然の恵をお願いします。」という言葉の方が、しっくりくる気がする。
私の友人の農家さんは、「太陽と雨と土が作っているんです。私はそのお手伝いだけです」と言っていた。
太陽は朝出て、夜沈む。雨は、いつものように降る。土は、汚されたり、壊されたりしない。それが、今日も、明日も、続くと思えば、必要以上に貯め込む必要もないし、右肩上がりでなくても良い。
今、あるものが、いつまでも同じように回ってくる。こんな豊かなことがあるだろうか。
春祭りは、「いつものように回ってきますように」と祈っているのだと思う。

2016-03-15 | Posted in ブログ, 自然No Comments » 

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