吉原を偲ぶ

たくさんあった雪が、あっという間にとけて、庭にはすでに水仙の蕾が。春はもうすぐ。

吉原から今の竜泉に向かう道は、昔は蓮田の中を通っていたという。
夏の花の季節になると、その道を通る時に、なんともいい香りが漂っていたのだそうだ。
あの美しい蓮の花が一面に咲き、その中をいい香りに包まれて歩く。夏の蒸し暑さも忘れてしまいそうな、夢見心地な感じだ。どんなだったんだろう。
かつて吉原だったところは、今は風俗街。おはぐろ溝だったところは、この道、大門があったところは、このあたり、と、実際に行って、想像することはできる。
しかし、一面の蓮田の中、蓮の香りに包まれて吉原から帰る。これはもう、今行っても中々想像できない。第一、蓮の花の香に包まれるという体験がよくわからない。
でも、待てよと思った。
私の町の隣には、レンコンが名産の町がある。蓮田もあるではないか。
そうだ、夏にあそこに行けば、きっと蓮の花の香りに包まれる感じが、体験できるに違いない。
地図をたどって頭で組み立てる体験は、東京でできる。でも、五感を使った体験は、今では、東京ではないところでこそできるのかもしれない。
吉原ではなく新潟で、吉原を偲ぶ、こともある。

2018-03-13 | Posted in ブログ, 江戸, 自然Comments Closed 

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