馬洗い場
初めて隣組の忘年会に出た。知っている方、初めての方、子供の頃からほとんど会っていない方。どんな感じの会なんだろうかと、どきどき。
父の葬儀でお世話になった皆さんなので、待ち合わせ場所でお礼かたがたご挨拶。それから、マイクロバスで温泉に移動。最初は地区の連絡事項や相談事など。
その中で、ゴミステーションの老朽化というのがあった。ゴミステーションは、小さな川にかかった橋のたもとにある。確かに床や屋根がちょっと傷んでいる感じ。
「あそこはね、馬洗い場だったんだよ。だから共有地なんだよ」
隣に座っていた同級生が教えてくれた。
「馬洗い場・・・」
あそこは子供の頃の遊び場だった。もう整備されていて、小さい川になっていたし、近所には馬もいなかったが。昔、あそこで、馬を洗っていたのか。
遠くに山が見え、田んぼが広がる中で、夕暮れに馬を洗っている景色が、浮かんだ気がした。どれくらい前のことなのだろう。せいぜい5、60年前のことなのではないか。
変わっていくことと、変わらないこと。
馬洗い場は、ゴミステーションになり、そこを維持している各家は、たぶん江戸時代からみんなここに住んでいる。
とてもなごやかで楽しい会だった。一度一緒に飲んだり食べたりしただけで、道を歩いていても、近所の家がとても親しいものに感じてしまう。
きっと昔から変わらずにこうなのだろうな。