春のうた
お盆になる頃、綺麗に咲く花。百日草。暑さもなんのそのの夏の色。
漢詩が結構好きだ。授業で習った時も、その絵的な漢字の連なりや、なんだか雄大な雰囲気、ちょっと異国情緒が好きだった。書き下し文の言葉の調子も好きだった。中国語で読むと、違った音楽的な面白さがあるのだろうが、残念ながら、それはわからない。
江戸時代にも漢詩が流行ったそうで、「唐詩選」はかなりポピュラーだったらしい。その江戸時代の訳が、授業の書き下し文しか知らなかった私には、かなりびっくりだった。
子夜春歌
郭震
陌頭楊柳枝
己被春風吹
妾心正断絶
君懐那得知
これを書き下し文にすると、
陌頭楊柳の枝
己に春風に吹かる
妾が心 正に断絶す
君が懐ひ 那ぞ知るを得ん
これは、授業で習った漢文の読み方だ。
これが、服部南郭、柳沢洪園の手にかかると、
町のほとりの柳さへ
あれ春風が吹くわいな
わしが心の遣るせなさ
思ふとのごに知らせたい
なんだか、そのまま三味線に乗せて端唄になりそうである。ふわっとした可愛らしさと色っぽさ。江戸の町なかで、柳の下で春風に吹かれている女性が見えるようである。
なんだかいいなあ。