行列揃えて


「お江戸日本橋 七つ立ち~」
先日、新潟のメディアシップ教室では、「お江戸日本橋」をお稽古していた。
「江戸時代の七つというのは、だいたい今の何時位で」など、歌詞にまつわる話もする。江戸時代は不定時法なので、今の何時とははっきり言えないが、春分の日か秋分の日だと、一刻が2時間位。なので七つは夜明けの2時間前位ということになる。「高輪夜明けて提灯消す」とあるから、日本橋から高輪まで、だいたい2時間位歩いたということだ。
浮世絵の「東海道五十三次」では、「日本橋」は、大名行列が橋の上を通っている絵だ。
「大名行列って、どんな風に歩いていたと思いますか」と聞いてみた。
江戸時代の人は、足並み揃えての行進はしないし、できない。集団として、乱すものなく整然とリズムに合わせて行動するのは、西洋式の動きである。
明治になってから、幼稚園や学校、軍隊などに取り入れられた。
じゃあ、どうやって歩いていたのか。
皆で、ぞろぞろと歩いていたのである。
私は、子供の頃、オリンピックの入場式で、日本の選手団が整然と歩いているのに比べ、ヨーロッパの選手団が自由に歩いて、手を振ったり笑ったりしているのを見て、「日本と違うなあ。いいなあ。整列して歩くのが、日本人なんだろうな」と思っていた。
けれど、実はそれは明治以降の話だったのだ。
「大名行列は、足並みを揃えて整然と行進しているのではなく、ぞろぞろと歩いていました」と話したところ、妙齢の女性の生徒さんがにっこりして言った。
「そうよねえ。そうじゃなきゃ、疲れちゃうものねえ」
本当にそうだ。
「お江戸日本橋 七つ立ち 初のぼり
行列揃えて あれわいさのさ」
この行列は、初めての上方見物でわくわくしている人たちが、皆で、ぞろぞろと歩いているという風景だ。そうじゃなきゃ疲れて、高輪までも行けないかもしれない。

2017-03-22 | Posted in ブログ, 江戸Comments Closed 

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