「くるくるくる」の幸せ

道端にも春

商店街を歩いていたら、「くるくるくる」と楽しそうな女の子の声が聞こえた。

ちょっと先で、小さな女の子が、ベビーカーに向かって、人差し指を伸ばして、「くるくるくる」と言いながら、楽しそうに回している。

追い越す時に見てみると、ベビーカーの中には赤ちゃんがいて、目をきらきらさせながら、クルクル回る指を、追っている。

それが、楽しくってしょうがないという感じで、女の子は、「くるくるくる」を続けている。

「くるくるくる」

追い越してからも、女の子の声は、背中から追いかけてくる。

あのくるくる回る人差し指から、きらきら追いかける小さな目から、光の粒が湧き上がって、輪を描いて登っていくようだった。

「くるくるくる」

小さな声でつぶやいてみた。なんだかすごくうれしいものが、湧いてきた。

春の日差しが注ぎ込み、一段と明るくなったアーケードを、くるくるくるっと、駅まで向かった。

2019-04-09 | Posted in つれづれ, ブログComments Closed 

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