鳥の話
ようやく春めいてきた。空の色がやさしくなり、雲とのコントラストがきれい。
鳥を見るのが好きだ。
台所の窓から見える木によく来る鳥は、今なら、ヒヨドリ、オナガ。
「ギイーギイー」と大きな声で鳴いているので、ヒヨドリはすぐわかる。灰色の小鳥で尾が三味線の撥の形をしている。三味線弾きとしては、なんとなく親近感を持ってしまう。この辺では、別名「ギーギー鳥」。そのまんまの名前だ。
オナガはとてもきれいな鳥だ。頭が黒くて、胸は真っ白、羽が水色、尾がとても長くてこちらも水色。オナガはいつも団体行動だ。たくさんの黒い頭と水色の羽が、枝に止まったり、次の枝に飛び移ったりと動くたびにとてもきれいで、ついつい見とれてしまう。しかし、その美しい姿に似合わず、声はすごい。「ギュエーイ、ギュエギュエ」と鳴くのである。カラス科だからしょうがないか。
江戸時代のことを書いた本に、「オナガは人懐っこい鳥で、子供たちのいい遊び相手だった。小さい女の子とオナガを部屋に入れておくと、お守りの代わりになる」とあった。
うらやましいなあ。今は、木に留まっている時に、そっと窓際に近づいていくだけで、皆逃げて行ってしまう。
鳥と話ができないかなあ。そんなことを思ってしまう。
夕方には、「コウコウ」と大きな声で鳴きながら、白鳥の家族がねぐらへ帰っていく。
空には一番星が出ている。もうかなり暗い。
どこへ帰っていくんだろう。鳥と話ができたらなあ。また思ってしまった。