甘くない生活
何か病気を持っているというほど大げさではないのだが、健康上の悩みというと、もうずっと昔から、目が痛いということだった。
とにかく一日中、目の底がなんとなく痛い。
でも、子供のころから近視だし、そんなものかと思っていた。しかし、ここにきて、さすがに、このままでは、いつかほとんど見えなくなってしまうのではと恐怖を感じ、なんとか軽減できないものかと、考え始めた。
今まで一度だけ、痛みがとれたことがある。それは、体調を崩した時、玄米菜食に変え、お酒と砂糖を断った時だ。その時は、冷え性をなんとか直そうと、思いつく限りのことをしたのだが、ある日、「あれ、目が痛くない」と気が付いた。しかし、体調が良くなるにつれ、食事もいつの間にか元に戻り、そして、いつの間にか目も前と同じようい痛くなっていた。
「甘いものを断てば、痛くなくなるのか」と思ったものの、自分ではそれほど甘いものを食べているという自覚が無かったので、まあ、少し減らして、位に思っていた。
そこへ、たまたま、群ようこの「ゆるい生活」(朝日文庫)を読んだ。めまいを治すために、漢方薬局に通って、体調が治っていくエッセイなのだが、なんと、砂糖断ちをしている。砂糖は、体に水をためるので、それで、体が冷え、老廃物がたまるという。
漢方を始めるにあたって、甘いもの厳禁となる。そして、だんだん水が抜け、改善していく。しばらくして許されるのは、二週間に一回、山田屋まんじゅう1個位。す、少ない!
それまで、私は、毎日なにかしらお菓子を食べていた。まんじゅう一個とか、クッキー数枚とかで、たまにケーキ。その位は、少ないと思っていた。しかし、甘いものは断たなければいけないのだ。
昔、一度だけ痛みがとれた時のことを思い出し、とにかく何でもやってみようと、砂糖断ちを始めた。それとともに、毎晩お風呂にゆっくりつかることもスタート。すると、なんと、効果てきめん。日中も体が暖かく、お腹や足がぼわーとゆるんで、お風呂に入っているようなのだ。なんとも心地よい。それから、だんだん目の腫れが引いてきて、頭もすっきりし、足も軽くなった。
時折は、お菓子を思い出したりもするが、この快適さが無くなる位なら、お菓子はいらないと思う。
目の腫れ、顔のむくみ、足が重い感じ、みんな水が溜まっているせいなのかもしれない。しかし、若い頃から冷え性で、いつもこんな感じだったので、これが普通だと思っていた。
自分の状態が基準なので、それより良い状態が普通と言われても、なかなかわからない。だって、体験したことないから。
あの程度のお菓子は少ないと思っていたし、沢山飲んでいたお茶やコーヒーなどの水分も普通だと思っていたし、大食だとも思っていなかった。
「とり過ぎる」ったって、基準がわからないから。ああ、誤解って、こんなところから始まるんだ。
この砂糖抜き生活が、どれだけ水抜きになり、心と体が軽くなっていくのか、今は楽しみだ。
甘くない生活は、軽くなる生活だった。