わんだ ふゆ
12月になった。新潟は晴れの日が少なくなり、雨が続き、風も強い。すっかり冬の装い。「今年は雪は多いのかな」「いつから降るんだろう」、そんな会話が多くなる。
庭に出てみる。
大好きな木、白木蓮も、すっかり葉が落ち冬の姿。この大きな木の下へ行って、空を見上げるのが好きだ。
曇り空をバックに、レースのように、細い枝が伸びている。
「重ならないように、うまくみんなで枝を伸ばしているんだねえ」そんな独り言を言う。
枝の先には、小さなつぼみがいっぱいだ。春には、また、満開の白木蓮の隙間から、青空を見るのが楽しみだ。
畑へ行く。
もう最後の薔薇かな。まだ小さな蕾がいくつもついているけど、雪が降れば、もう咲けないかもしれない。冬の薔薇も好きだ。
庭へ戻る。
万年青の赤い実が目を引く。
まわりは白木蓮の落ち葉でいっぱいだ。これがまた、雪にうもれてふかふかの土になっていく。
冬の天気は気まぐれで、雲の切れ間にかかると、急に晴れたりする。花梨の木のてっぺんに、実がまだ残っていた。
掘り上げたネギ、豆、花梨が、並べられている。花梨は玄関に一つ置こう。いい匂いが広がる。
小さな芽は水仙だ。雪が降る前に、芽は出ている。
水仙が冬の花というのが、子供の頃は不思議だった。新潟は、雪が溶けてから咲くから春の花だ。東京へ行って、1月に咲いている水仙を見て、びっくりした。雪がなければ、冬に咲くんだと知った。
南天の実は、真っ赤できれいだ。ここに雪が積もると、雪も華やかになる。
椿は咲き始め、早くも散っているのもある。この椿は、私よりずっと長くこの家にいる。子供の時にすでに大木だった、私の木登りの木である。
冬は、じっと寒さに耐えて、春を待つ季節だと思っていたが、冬とは「ふゆ」、生命力を増やす季節と知ってからは、なんだか冬がとても豊かな季節に思えてきた。
毎日寒くなり、雪も降るけれど、その間、どんどん、どんどん、増えていくものがある。そして、ぱんぱんに膨らんで張った時に、「はる」が来る。
冬も悪くないなあ。
なんてったって、私の誕生日も冬だもの。
わんだふゆ!