嵐の日

秋も終わりに近くなると、時折朝から荒れる日がある。雨や風の大きな音で目が覚める、ということが小どもの頃から、時々あった。
ごうごうという風の音が家を取り囲み、大きな風が来ると、家が少し揺れる。雨が加わるともっとすごい。ざあーっという大きな音と共に、雨が屋根に打ち付けられる。
布団の中で聞いていると、まるで、家全体が大きな嵐に、すっぽりとつつまれているようだ。自分も、家も、とても頼りなく小さく感じる。
こんな嵐の日が嫌いかといえば、そうでもない。
どちらかといえば、嵐の日は好きだ。
晴れの日は穏やかだが、嵐の日にはエネルギーがある。
ごおごお、ざあざあの大風と大雨のパワーに、なんだかひたってしまうのだ。
嵐の日の登校は、雨合羽に雨ズボンに長靴の完全武装だ。遮るものもない田んぼの中の一本道。目だけしか出ないように、しっかりフードもかぶり、嵐の中を歩く。
大きな空は一面に鉛色の雲。横殴りの雨。飛ばされそうになる風。嵐の中の登校は、大変だ。だけど楽しい。
嵐が上がって、雲の切れ間から下の方へ、何本も光の帯が下りて来る時もある。なんだか神々しくて、びっくりする位きれいだった。嵐の後も、いいことがある。
嵐の日にしか、嵐に会えない。だから、私は嵐の日が好きだ。

2016-10-31 | Posted in ブログ, 自然Comments Closed 

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