恋の力
今日は日中は、かなりの雨風。金木犀も、かなり散ってしまった。
父がお世話になっているデイサービスの職員の方から、父は「職員の中でお気に入りの人がいるんですよ」と聞いていた。どの人なのかなあと思っていたが、やっとわかった。
ある日、「おはようございます」とXさんが目の前に来ると、椅子に座ってうつらうつらしていた父が、急に満面の笑み、ニコニコ顔になった。そして、「ああでして、こうでして」ととたんにおしゃべりを始めた。
あれえ、いつもとずいぶん違うなあと思って見ていたら、すんなり玄関へ。
靴を履いたら、「じゃあ、行きましょう!」と元気にXさんに声をかけて出かけていった。
父は教師だったので、家族で出かけた時などは、修学旅行の引率よろしく、「じゃあ行きましょう」とか「次は、どこですよ」などと、いつも皆に声をかけて先頭を歩いていた。
そんな父を思い出し、やはり、気に入った人がいるというのは、一番の原動力なのだなあと、改めて思った。
男の人には女の人が、女の人には男の人がいるのが、やっぱりいいんだな、きっと。
ブータンでは、配偶者を亡くした人は、ほとんどみな一年以内に再婚するという。高齢者でも同じだ。夜中に気分が悪くなったりしたら、一人じゃあぶない。第一、夜中に背中がかゆくなっても、親や子供や兄弟は、掻いてくれない。人間は一人で寝るものじゃないのだそうだ。
「恋の力」だな。そういえば端唄は、ほとんど恋の唄だ。
柿が実るのだって、恋の力、だよね。