わたしはヘムレン?
児童文学好きである。
ここのところ、時間ができたので、ムーミン全集を読み返すことにした。
この物語は、子供時代の私の大事な栄養だった。
なつかしい話がたくさん。
公園を管理しているヘムレンさんが立てた「べからず」ばかりの立て札を引っこ抜くスナフキン。「しちゃだめ」「しなさい」ばかりの教育熱心なヘムレンから逃げ出すムーミンパパ。おそろしく明るく前向きで皆に楽しいことを教えたいヘムレンが、どうしても好きになれないと悩むムーミン。
それらは、皆わたしの大好きな人たち。
世話好きなヘムレンおばさんが、「これから、あんたたちのせわをやきます」と宣言するのに対して、ムーミンたちは声をそろえて「いいよ、そんなことしてくれなくても」とさけぶとこ。好きだった。
何冊か読み進むうちに、気が付いた。
わたしは、ちょっと、ヘムレンになっていないかしら?
「そうすべき」とか、「こうあるべき」とか考えて、世の中や、周りの人に、何か思ったり、腹を立てたり、そしていらない世話をやいていなかったかしら?
そして、何よりも自分に対して、ヘムレンになっていなかったかしら?
心の底で、「いいよ、そんなことしてくれなくても」と叫ぶ声が聞こえないふりをして、楽しそうにその声の頭を押さえて、「そうそう。そうしましょう」などと言って、その声の主を引きずっていかなかったかしら?
ヘムレンは正しい、間違ったことは言っていない、でもヘムレンはちょっと窮屈。
収集癖のヘムレンさんはムーミン屋敷に一緒に住んでいる。ムーミン屋敷は、それぞれ好きなことをしながら、それぞれをちょっとだけ気にして楽しく暮らしている。
さあ、今日は続きを読もう。